甘・辛・酸・旨みのバランスが絶妙なインド料理の魅力

あまり行くことのない西荻窪をぷらぷらと歩いていると

表にドライフルーツやナッツの試食ができるお店が目にとまった。

いかにも、大粒で美味しそうな加工していない素そのもののナッツのなかに

珍しい杏仁(あんにん)の種を発見。


杏仁豆腐の元として知られる杏仁霜(あんにんそう)はスーパーにも売っていて皆よくしっているけど、杏仁の種がそのまま買えるとは。むかし本で、杏仁の種をすりおろすところから杏仁豆腐作りをしているのをみかけたけど、すごい手間がかかって大変そうだなと思った。


産地は、杏がよく採れるパキスタン。アーモンドのようにそのまま食べられ、だけどもアーモンドほどにオイリーな感じはせず、とてもさっぱりしている。実際の栄養価はどうなのだろう。

薬膳では、肺や呼吸気道を潤す作用があるとされていて、

杏仁は咳や風のときの乾燥性の喉の痛みなどに使われてきました。



お店の中に入ると、センスのいいずっしりと重そうな素材感のパキスタンのアンティークのお皿や、インドで購入したという真鍮製の高級感のありながらシンプルなお皿が並んであって、店主のこだわりを感じ、定期的に開催しているというスパイス教室も絶対に美味しいだろうと、今度は参加してみることを決め、それに昨日参加してきました。


メニューは

・春のソラマメや、えんどう豆をたっぷりと使ったビリヤニ

・丸々大きななすを美味しく食べる杏仁のペーストが入ったカレー

・キャベツとくるみのサラダ

・乾燥チェリー入りのライタ



ビリヤニは、インドの炊き込みご飯のようなもの。手間がかかるので、日本でも食べられるお店は限られているけど、私は大好きで、お店によって味付けにとても違いがでる。

以前好きだった、神田にあるアンダラーダバのビリヤには、厨房の人が変わると同時に、味が恐ろしく変わってしまった。



初めて食べたときに不思議に思った、ビリヤニのまばらな色のつき方のひとつは

このサフランによるもの。カレー、お米と2層に重ねていったら、最後にサフランを回しかけ、黄色く色づけをする。

サフランは高級なスパイスで、1gをとるのに、300本のサフランの雌しべを必要とする。なるべく少量で香りを引き立てるため、指で少し揉むようにしてつぶしてから水に漬けて使っていた。

ナスのカレーはとても贅沢に、

例の杏仁をペーストにして、濃厚で優しい味付け。

ごろごろとしたナスは、上手に蒸し焼きにするのが美味しさの秘訣。


写真でみるよりも、実際はもっと大きい器にもりもりによそわれたビリヤニも

カルダモンやウコンなどの理気作用、

酸味のあるラッサム(トマトスープ)による消化促進作用によって

なんとか食べられてしまったし、その後もお腹のもたれた感じもなかった。消化器系に配慮されているインド料理にはいつも、感心してしまう。



それに、こんなに色々なものを作ったけど、砂糖は一切使っていない。

豆の自然な甘み、トマトやタマリンドの酸味、スパイスの辛味、油や素材の甘みを充分に引きだし、細かく計算されたインド料理は、全てを混ぜ合わせて食べるときに

その要素が絶妙に合わさり、複雑な美味しさをつくりだす。

複雑な味って、ずっと食べていても飽きないんですよね。


昔に比べると高温多湿になってきて消化器系の不調が出やすい日本の気候の背景も

今インド料理が人気になっている理由のひとつかもしれない。


暮らしの薬膳

鍼灸師が主催する薬膳料理教室です。薬膳セラピスト資格講座も随時募集をしています。 毎日食べても疲れない、暮らしに寄りそった薬膳料理をお伝えしています。

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